【編集後記】最新号『日本+アジア 話題の絶景宿』より。絶景と、サステナビリティ。

May 15, 2026 | Editor's Voice | photo_Housekeeper text_Housekeeper 【編集後記】では特集のこぼれ話や編集部視点の番外編をお届け。今回は、『カーサ ブルータス』2026年6月号『日本+アジア 話題の絶景宿』の撮影のため、瀬戸内海から葉山、インドネシア・バリ島まで、国内外を飛び回った担当編集が綴ります。 最新号は2023年以来、約3年ぶりとなる絶景宿特集! GWが明けたばかりで憂鬱な気分になりがちですが、気持ちを切…
May 15, 2026 | Editor's Voice | photo_Housekeeper text_Housekeeper
【編集後記】では特集のこぼれ話や編集部視点の番外編をお届け。今回は、『カーサ ブルータス』2026年6月号『日本+アジア 話題の絶景宿』の撮影のため、瀬戸内海から葉山、インドネシア・バリ島まで、国内外を飛び回った担当編集が綴ります。
最新号は2023年以来、約3年ぶりとなる絶景宿特集! GWが明けたばかりで憂鬱な気分になりがちですが、気持ちを切り替えて夏のバカンスのことでも考えてみませんか?(現実逃避)前回、前々回は「日本の絶景宿」と題して、山・海・湖・島など多彩なロケーションのライフスタイルホテルを紹介しましたが、今回はアジアにまで範囲を広げてお届けします。日本の最新ライフスタイルホテルを中心にバリ島、韓国、スリランカなどいま行ってみたいホテルを徹底取材しました。
今回、各地のホテルを取材して気づいたのは、どこも当たり前のようにサステナビリティに取り組んでいること。4月にオープンしたばかりの〈NOT A HOTEL SETOUCHI〉は、ビャルケ・インゲルス率いるBIGが日本で初めて完成させた建築。屋根にはGoogleの本社でも採用されているソーラーパネルが瓦に見立てて組み込まれ、電力の多くを賄っています。ラムドアースという工法で建設地の土をそのまま固めた壁は、ヴィラごとに土の色が微妙に異なっていたりして、その原始的とも言える壁に囲まれていると、とてもリラックスした気分に。かつてビャルケがヘドニック・サステナビリティ(快楽主義的な持続可能性)という概念を提唱しただけあって建築とサステナビリティが無理なく一体となっています。さすがBIGですね!!
葉山の〈Casa CABaN HAYAMA〉の外壁を覆う格子状の編み込みは、このホテルのために特別に開発されたという100%再生ポリエチレンを配合した強化繊維テープでできています。パトリシア・ウルキオラが掲げたコンセプトは「weaving」。ニットメーカーとして創業した〈トゥモローランド〉へのオマージュが込められており、太陽光が差し込むたびに編み目が影を落とし、時間ごとに表情を変えます。素材の話を聞かなければ気づかないほど、景色に自然と溶け込んでいました。ウルキオラが特にこだわったポイントらしく、その美しさをぜひ直接確かめていただければと思います(うっかりすると見逃しがち!)。
バリ島の〈DESA POTATO HEAD〉は、2016年頃からサステナビリティへの取り組みを本格化。かつては約60%が埋立地へ向かっていた廃棄物を現在は0.4%にまで削減し、「B Corp」認証も取得してしまうほど。施設内のバックヤードを巡ってリサイクルの様子を見学できるツアーに参加したのですが、利用客のゴミがプロダクトになる過程を順に見ることができ、とても楽しい体験になりました。プロダクトの一部はマックス・ラムが監修していたりと、オシャレ感も満載。やはり世界のベストホテル50の常連は、やることが違います。
どのホテルにも共通するのは、サステナビリティを声高に語らないこと。〈DESA POTATO HEAD〉が掲げる「Do Good Times, Good」という言葉が象徴するように、それは目的ではなく、よりよい選択を積み重ねた結果として静かにそこにあります。客室のゴミ箱はひとつで、宿泊者に分別は強要されません。我慢を求めるのではなく、むしろ体験の質そのものを高める方向に知恵が注がれています。よく考えてみれば、絶景というのはそれを支える土地や海や空が美しくあることで初めて成立しているんですよね。美しい地球と絶景は切っても切り離せない関係にある。そのことをどのホテルも、言葉ではなく空間で伝えていたのがとても印象的でした。